1年くらい前でしょうか。同著『1984年』における 管理社会・全体主義・思考停止 の描きっぷりにびっくりして、続けざまに読んだのがこちら『動物農場』。
管理社会という点、かつその管理形態が稚拙であるがゆえに徹底できているという点も『1984年』と共通しているのですが、まず、我々はここに描かれた稚拙さを笑い飛ばすことができるのか・・・それを問われることになります。稚拙であればあるほど払拭し難いというパラドックス・・・うーん、耳が痛いですね・・・あれ?痛くない?・・・あ、そうか。管理され慣れている人は、たぶん痛くないと思います。そういう意味でリトマス試験紙になりそうですね。
特に『動物農場』は、如何せん登場人物が基本的に「動物」なので、人間世界をよい塩梅で風刺して描けているわけですが、その様子がまぁ、とてもおもしろおかしくて、まったく笑えません。
基本的な流れはこうです。
搾取されない世界・自由な世界もとめる
→ 革命的に手に入れる
→ 手に入れた世界を失わないために管理する
→ 管理される側が生まれる
→ むしろ前より悪くなる。
というわけで、流れ自体はそれほど特異ではないのですが「流れ方」がもう、ほんとに「うわぁ!すごい!ありそー!ていうか絶対そうなるよねー!」という感じでばっちり人間社会のツボを押さえていて、全然笑えない。
さてさて、なんでこんな(一見)救いのないような本を紹介するのかと言えば、ちらっと書いたようにリトマス試験紙になると思ったからです。
何を試験するのか。
もちろん自分自身です。自粛している己の姿を鏡に映しながら読んで見てください。笑えるか、笑えないか。何を笑えるのか、何が笑えないのか。誰が笑っているのか、誰を笑っているのか・・・どーん。
最後は 喪黒福造 風で終わりましたね。
それではまた、素敵な日々の素敵な隙間にお逢いしましょう。
Chao!!